Blog

2016.03.05

紐解かれる思い出

先月、ひとつの酒器を見て、ドキッとする瞬間がありました。

 

2321ed64567757c4ccfd59cef62575b8_5d5cfdefe4b1dcffc38ada97d159152e

 

お酒の注がれた大きめのぐい吞み、

かわいいなって、昔の中国の人が飲んでいそうだなって思って、

ふと、ああそうだ私、李白が好きだったんだよなぁ~と思い出しました。

 

 

中学生になると古文や漢文を習い始めますが、李白か杜甫かっていったら、私は李白の詩が好きだったんです。

彼の詩はなんだか色っぽいなぁ、なんで艶っぽさがあるんだろ、って 知りたくて

李白を調べたりしました。中学2年生の頃です。

調べると、

李白は年中お酒を飲んでいるのです。

図書室で調べて本を開くと、綺麗な川辺でお酒を飲みながら歌をよく読んでいる記録や絵が、たくさんでてきて、

「うわぁ!このおじさんはお酒を飲んでばかりじゃないか。

瓢箪みたいな小さい壺みたいな入れ物を持って、川辺をフラフラしながら遊んでる!」

優等生キャラな私には、かなり刺激的な瞬間でした。

職業:宮廷詩人、そして川の流れの如くひとつの場所には留まらず、流れるように暮らしている。

李白』、名前もカッコイイし。

いいなぁ、かっこいいなぁ、詩を読んでそれで暮らしていけるなんて最高だなぁ、いいなぁ

 

 

そんな風に憧れていたのでした。

35歳になって、そんな13歳の頃の小さな感動もすっかり忘れていたところに

「李白のお酒を連想させる器」が目に飛び込んできて、

思わず「あ、私李白が好きだったんですよねー」と一言漏れて

そしたら和食店の店主さんが、

「さすがですね、それ、李朝です。李朝白磁を模した器ですよ」って。

 

 

懐かしさを感じた瞬間、私の中に

新しくて古い知識が降り注いだのでした(^-^)

 

 

そして当時の、図書室で本を開いて衝撃を受けた13歳の私の姿を、

まるで『私』という本の1ページを開いたかの如く

微笑ましく眺めているような自分がいました。

 

 

その日は、酒器ひとつで

あたたかくって、くすぐったい気持ちになりました。

 

 

 

9037ad7afe1681c2b55153ee63bf4413_6fb9e74b353b12252bdba763abd29bee

 

ついでに ↑ FBにもアップしたこちらの器は、

その和食店店主さんが私にプレゼントしてくださったもの。

3/3は、こちらに薬膳甘酒を入れて

お客様のアフタードリンクにお出ししていました(*´ω`*)

 

 

生活と記憶と、美学。

温故知新が二重奏。

 

 

人間て、楽しいですね(*^▽^*)