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紐解かれる思い出
先月、ひとつの酒器を見て、ドキッとする瞬間がありました。
お酒の注がれた大きめのぐい吞み、
かわいいなって、昔の中国の人が飲んでいそうだなって思って、
ふと、ああそうだ私、李白が好きだったんだよなぁ~と思い出しました。
中学生になると古文や漢文を習い始めますが、李白か杜甫かっていったら、私は李白の詩が好きだったんです。
彼の詩はなんだか色っぽいなぁ、なんで艶っぽさがあるんだろ、って 知りたくて
李白を調べたりしました。中学2年生の頃です。
調べると、
李白は年中お酒を飲んでいるのです。
図書室で調べて本を開くと、綺麗な川辺でお酒を飲みながら歌をよく読んでいる記録や絵が、たくさんでてきて、
「うわぁ!このおじさんはお酒を飲んでばかりじゃないか。
瓢箪みたいな小さい壺みたいな入れ物を持って、川辺をフラフラしながら遊んでる!」
優等生キャラな私には、かなり刺激的な瞬間でした。
職業:宮廷詩人、そして川の流れの如くひとつの場所には留まらず、流れるように暮らしている。
『李白』、名前もカッコイイし。
いいなぁ、かっこいいなぁ、詩を読んでそれで暮らしていけるなんて最高だなぁ、いいなぁ
そんな風に憧れていたのでした。
35歳になって、そんな13歳の頃の小さな感動もすっかり忘れていたところに
「李白のお酒を連想させる器」が目に飛び込んできて、
思わず「あ、私李白が好きだったんですよねー」と一言漏れて
そしたら和食店の店主さんが、
「さすがですね、それ、李朝です。李朝白磁を模した器ですよ」って。
懐かしさを感じた瞬間、私の中に
新しくて古い知識が降り注いだのでした(^-^)
そして当時の、図書室で本を開いて衝撃を受けた13歳の私の姿を、
まるで『私』という本の1ページを開いたかの如く
微笑ましく眺めているような自分がいました。
その日は、酒器ひとつで
あたたかくって、くすぐったい気持ちになりました。
ついでに ↑ FBにもアップしたこちらの器は、
その和食店店主さんが私にプレゼントしてくださったもの。
3/3は、こちらに薬膳甘酒を入れて
お客様のアフタードリンクにお出ししていました(*´ω`*)
生活と記憶と、美学。
温故知新が二重奏。
人間て、楽しいですね(*^▽^*)